フランス発のウォッチブランド 「LAPS」のデザイナーでもあり、創立者のアントナン・メルシー氏が来日。アートといっても過言ではないLAPSの作品がいかにして生み出されたのか、その背景を聞いてみることにしました。

(HºM'S" WatchStore)
まず初めに、なぜこのような独創的な時計を生み出すことになったのか、その経緯をよかったら教えてもらえますか？

(ANTNIN)
LAPSを始める前までは、アートに関わる仕事をしていたんだ。だけど30歳を過ぎてから、もっと自分の為に、自分のやりたい事をやろうと思ったのがきっかけで2015年にLAPSを作ることになったんだ。

(HºM'S" WatchStore)
LAPSは文字盤に天然素材を使い、唯一無二のプロダクトを作っていますが、そのアイデアはどのように生まれたのでしょうか？

(ANTNIN)
時計を作るきっかけとしては、時計の修理士として時計のノウハウを学んでいて、その職場で出会ったある男性と一緒に時計作りを始めた。そんな中で一つ一つカスタマイズでアンティークの時計の文字盤に象牙や木を使った製品を作ったりしていたんだ。今でもLAPSのマテリアルシリーズ(天然素材を使用したシリーズ)は、一つ一つ手作りで作っているので大量には作れないんだよね。

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なるほど、しかしなぜそのような難しく時間のかかるものをやろうと？

(ANTNIN)
LAPSの時計は"Not a watch for everybody, a watch for somebody"(直訳でみんなのための時計ではなく、誰かのための時計)なんだ。マテリアルシリーズは天然素材なので一つ一つ表情が違うんだ。自分のスタイルを持った人達に気に入って貰える様な時計作りを続けていきたいと思ってね。

(HºM'S" WatchStore)
写真を転写した文字盤のシグネチャーシリーズも、非常に独創的ですが、そのインスピレーションやコレクションはどこから？

(ANTNIN)
難しい質問だね。ただのインスピレーションというか。笑 元々アートが好きだったのもあって、歴史的なものだったりアノニマスなものだったり。写真のアイデアコレクションはまだまだたくさんあるよ。実は、LAPSの四角いデザインは、額縁のイメージで、一つ一つをアートピースとして捉えられるように作ったんだ。例えば、このケースが壁にいくつも掛けられてるみたいな。だからすべての作品をたくさん作りすぎたくないから、すべて限定数で生産している。ケースのデザインは、30年代、50年代のエレガントな時計のイメージがデザインの根底にある。

(HºM'S" WatchStore)
パリのアトリエでは何人でプロダクトづくりをしているのですか？

(ANTNIN)
LAPSのアトリエの中で働いているのは僕を含めてたった2人。ただ、天然素材に関しては、パリ中の様々な熟練の職人たちと協力してもらって、一つ一つの商品を丹精に創り上げている。例えば、ヘビ革加工をしてもらっている職人は、某有名フランスブランドにも携わっていたり。色々なその道のプロの職人さんの手によってLAPSは作られているんだ。だから僕にとってコミュニケーションが一番大事。

(HºM'S" WatchStore)
最後に、日本のみんなにメッセージはありますか？

(ANTNIN)
日本人の細かなところまで拘り・気配り、オープンマインドで様々な文化へ多様なところ(彼曰くフランス人とは真逆だそう)が好きで、いつも日本の文化には色々なインスピレーションを受けているんだ。実は、時計作りを始める当初から、日本への意識、繋がりを感じる部分があったので、今この様に日本のカスタマーへ気に入って貰えている事がとても嬉しいです。

アーティスティックな作品とは裏腹に気さくに色々な話をしてくれたアントナン氏。彼の作品はたくさんの人に、愛され、支えられて作られているという事が彼の人柄から伺うことができた時間であった。